「スタジオとお金」最終回です。
前回は、スタジオが使うお金が2種類ある事を説明しました。
「作品に使うお金」と「会社全体で使うお金」。
理論上は、「会社全体で使うお金」の残りで作品を作るわけですから、
スタジオの経営はすべからく「黒字」になるはずです、
ただし現実はそうはいきません。作り手であるクリエイター、彼らに仕事をお願いして作品を映像化していく制作、
どちらも人間なので風邪をひけばミスもある、今回のコロナのような予測不可能な事もあります。
予定が遅れれば、さらに人手を増やしたりと追加のお金がかかります。
「実行予算」を超えた場合は「会社全体で使うお金」から補填します。
維持運営に必要なお金ですが、 契約上、作品の納品義務があります。
委員会だって、お金を出している身ですから、放送に耐えられない映像を受け取るわけにいきません、納品拒否をする事も出来ます。
予算内に収まるに越したことはないのですが、「実行予算」を超えるケースは多いです。
アニメは数百人単位が作る、しかも同じものを作ることはありません。 機械の生産ラインに乗せれば自動で出来上がるわけではないです。
なので「スケジュールは遅延する要因しかない」のです。
それでもスタジオとプロデューサーは、 限られた予算とスケジュールの中で、委員会、クリエイターと手を取り合い良いアニメを作ろうと努力します。
良いアニメは、監督や脚本家、スタジオがフォーカスされますが、 陰には優れたプロデューサーがいます。
プロデューサーが誰かも重要な要素の一つです。
委員会同様、スタジオも多岐にわたる重要な役割を担います。 委員会同様、予算に対してかかる費用が見えにくい、難しいビジネスです。
では、クリエイターとスタジオはどのような関係なんでしょうか? 次回は「スタジオとクリエイターのお金」もお金の流れから、クリエイターの役割を紐解いてみます。