前回に続き「スタジオとお金」の第2回目です。
実際の「スタジオのお金」の流れはどうなってるんでしょう?
委員会から預かる制作費のうち、「作品に使うお金」と「会社全体で使うお金」の2つに分けます。
「全部作品に使わないなんて中抜きだ!!」と怒らないでください(笑)
「会社全体で使うお金」なので、会社の維持運営費につかいます。
スタジオは法人なので、様々なお金がかかります。 家賃、営業や経理、税理士などの販売管理費、 優れた人材の確保や機材、 それに実際に「作品に使うお金」が予定通り収まるかも未定です。
多くの社長は、良いアニメを作るためのお金と、会社運営に必要なお金、2つのバランスに苦心します。
では、「作品に使うお金」は?
これは「実行予算」と呼ばれ、アニメーションプロデューサーが管理します。 プロデューサーは、限られた予算の中で最大限の努力をします。
優れたクリエーターでスタッフ陣を作り、CG会社や美術背景会社にも協力をお願いします。 補佐役のデスク、制作進行の管理も仕事。
ある有名な監督が、会議で「いいスタッフを集めること、これでアニメの8割が決まる」と言ってました。 優れたクリエイターとの人脈づくりもプロデューサーやデスクの役割です。
予算管理に加え、彼らが作品に参画してくれるか、人間性や演出論など、高度なスキルが求められます。
また、アニメ制作は人間が行うため、予定通り進まない事が多いです。 あるスタジオの社長が「スケジュールは遅延する要因しかない」と言ってました。
世の中、当初立てた予定通りに物が運ぶほど甘くないのです。
次回は遅延したスケジュールが、「作品に使うお金」と「会社全体で使うお金」にどのような影響を及ぼしているのか見てみたいと思います。